まぶしい太陽、涼しい朝の空気、買ったばかりの制服、新しい私の学校。
私は今まで極普通に生きて、極普通の学生生活を送ってきたのだけれど、ここにきて共学から女子高へと少し路線を変えてみた。
これから通うこの女子高は、伝統と莫大な生徒数を誇る都内で一二を争う学園に所属している。正確には少子化に負けずに生徒数が伸びに伸びるため、敷地面積の限界を感じた学園が何年か前に新設した分校なのだ。ただし、家からの近さや本校と変わらない制服、変わらない気品からこちらを選ぶ新入生も少なくないらしい。
そんな高まる気分の中、これからの学校生活に期待を寄せた想像をしつつ、私は一般客と共にバスに乗った。
新設された分校である事と、本校とは別の場所に建てられて付近に別の分校があるわけでもない事から、まだ学校用のバスが出てないのが唯一の難点だ。本校の方は、巨大な学園であり、数多くの女子生徒を抱えているため、学園専用バスがいくつも走り、過保護な家庭による自家用車での通学も珍しくないとか。
まだ人数が一般の学校並の分校はその辺がつらい。もっとも新設された割にすでに生徒が埋まりきっている所は、一般の学校とまた格が違うのだが。
「っつ……」と思わず体が圧縮されて、痛みに声がでる。一応うまく鞄をよけているので、新品のこれに傷や折れ曲がったりする事はないと思うけど心配だ。それにこの制服にも、自然に直らないしわがよってしまうのは確実だろう。次回からは時間を変えたほうがいいかもしれない。
にしても、乗り始めた時にもすでに半分以上立っていられるスペースも埋まっていたのだが、さらに数箇所のバス停で大量の人を乗せたために、ついに乗車率120%を超えてしまったらしい。一応、学校が新しく建てられる事を考えて、本数を増やしてバスの間隔を短くはしてあるようだが、焼け石に水、子供に説教、昼食に○ロリーメイト。無駄無駄だったようだ。
そんなときの事だった。
「ひっ、あ……」
私は聞き逃さなかった。社会に揉まれて小さな事など気にしなくなった図太い社会人の中、バスの騒音や携帯の操作音、女子高生や大人の話し声、そして体臭。それに紛れながらも一瞬の悲鳴が聞こえたのを。独特の震えた小さな声、聞き逃してはいけない声だ。
すぐにその方を向くと、人込みの隙間から男の手が見えた。汚らしい無骨な男の手が、長い学校生活で穿き慣れたスカートを触れるのが。恐怖に震える女の子の体が。
私は制服にしわがつく事も考えず、体をその隙間に滑り込ませて醜い手首を掴んで捻り上げた。
「ぐっ! ……ちっ」
男がこちらを見て睨んできたが、怯まずに睨み返し、捻った手首を掴みながら男を押して女子学生から距離を取らせた。
「現行犯ね、痴漢。警察が来るまで大人しく──」
バスが左折して慣性によって大きく体が横に引っ張られ、さらにブレーキしたのをきっかけに、私は自身の体が倒れないようにバランス感覚に気を取られた所為で、手に掛けている力が緩み、男は隙を見て手首を掴んでいる私の利き腕をもう片方の手で引き剥がして、ちょうど開いたバスの出口から逃げてしまった。
その男が標的にしていた、三つ編みに眼鏡という典型的な内気な感じの女子生徒に礼を言われ、学校の職員室で彼女の担任らしき教員に私も一緒に説明し、さらに到着した警察から事情聴取を受け。
結局入学式はさぼり。発表されたばかりの担任とはホームルームで会わずに、職員室でプリントを貰うときに二言三言話しただけとなった。
確かに少し路線を変えて、いつもとちょっと違う自分や日常にあこがれてこの学校に来たが、入学初日に教室に入らず、なおかつ警察沙汰って言うのは、どうかと思ってしまう。
「はい、これで大丈夫です。本当にありがとうございました」
「あ、はい。どういたしまして。まあ自分から首を突っ込んだんだし、それに人助けですから、傷一つなく誰かを助けれればいい方ですよ」
ここは保健室。その保健室まで迷うことなくたどり着けた事、彼女の名札を彩る色からして、私と同じ新入生ではないのだろう。そして今の手当ては、先の痴漢騒動の結果、一応特に外傷はなかったのだが男が逃げる際に腕を強く掴んできたため、彼女がそれを気遣ってシップを貼って包帯を巻いてくれたのだ。
「後が残る傷もなくてよかったです。女の子が傷ばっかり作ってはいけませんから……」と、腕に巻かれた包帯をそっとなでた。まるで愛しいペットの背をなでるかのように。
「それから、今日は本当にありがとうございました。私、震えてばかりで、何もできなくて……、だから──」
「いや、礼とかはもういいですって。ああいうのは仕方ないですし」
「いえ、あの、だから、せめてこれだけは言わせてくださいっ」と、彼女はまるで愛の告白でもするかのように顔を赤らめて、次の言葉を吐くために息を吸った。着痩せしていた胸が肺に空気を取り込んだ事によって膨らみ、ボリュームがある事を本人の意思とは関係なく私に示す。
「あなたの事が、好きです」
「ってことがあったのよー」
私は酔っ払いの中年よろしく中身を口の中へと注ぎ切ったコップを口から離して大げさに息を吐いた。まあジュースでもがぶ飲みしながらじゃないと、こんな恥ずかしい話言える訳ないのだ、仕方ない。
私は結局あの後、驚きと恥ずかしさと戸惑いで、一方的に約束をつけ、逃げ帰ってしまった。どうしようか悩んだ末、ケータイを手にとって彼女にケータイにかけたのだった。
一方、ゲーム発売日の小学生みたく急いでここまで走ってきた私と違って、その友達ははひどくおちついて、というか、いくら友人に対してでもそれはひどいんじゃないっていうくらい、だらけて私を待っていたのだった。流石に服は着て貰った。これは人として最低条件だと思うのは私だけだろうか。
プラスティック製安物ちゃぶ台を挟んで、さらに高度も上げて、休日の一人と変わらない傍若無人さでベッドに寝そべる私の中学からの友達は、机の上に広げたポテチに腕を伸ばして数枚指先で掴み取り、もしゃもしゃと頬張って相槌を打つ。
「んぐっ……自棄酒(やけざけ)の安酒じゃあるまいし。で、えーと……つまり、痴漢されてる所を助けたら、その被害者であった上級生らしき三つ編みメガネっ子先輩に禁断の関係を頼まれて倒錯した──」
「ちがああああああああああああう!!!! 好きって告白されただけよ!」
そうだ、そんな十八歳未満閲覧禁止の女子だらけの楽園の話はないはずだ、多分、きっと。
「一応、テンパっちゃったけど、一日だけ待って貰えますかってだけ何とか言い切って、逃げちゃったよ」
そういって私は溜息をついた。そもそも男女どちらとも告白なんてされた経験もした経験もない。その場の空気に肌を触れているだけでも恥ずかしかったさ。何とか一言だけ言えただけでも自分としてはかなりの上出来だろう。よくやったぞ、自分。
友達は腕を組んで、ふむふむと唸って不満そうに呟く。
「ま、上出来って事にしときましょ……とりあえず、目先の問題が二つくらい残ってるわね!」と、人差し指を私に突きつけた。
「ふ、二つっ?」と、某調査班のあれを頭に思い浮かべながらリアクションをとる私。目の前の彼女も満足そうに頷いているから、多分このテンションで二人っきりポテチ会議を続けるつもりなのだろう。おかげで地元の友人は、お互いテンション上げて、気にせず話せれるので助かる。
「うむ、その一! その人がどんな人か! 例えばその三つ編みメガネ先輩がその三属性を除けばどこからどう見ても不良だった場合、その告白はうまく丁重に断ったほうがいいだろう。財布なり、サンドバックなり、運悪ければ一生こき使われる運命にされるだけだからね……」
私は少し肩透かしを食らって、ミステリーマガジンなリアクションで緊張させた体をだらけさせてくずした。そもそも三つ編みメガネ不良先輩なんてこの世にいるのか。というか現実にいたら逆に怖くないだろうか。
そんな風に考えながら私は今度、三つ編み不良メガネ先輩、じゃなくて三つ編みメガネ不良先輩の出る漫画を本屋で立ち読みでもしながら探すことを決めた。
「で、真面目な話、どんな人なんだ?」
急にテンションを変えて表情も真面目にするという切り替えの早さに感心しながら、私は記憶の海を探った。
「えっと、悪い人ではなさそう、かな。その先輩いわく文芸部所属らしくて、隙を見計らってそこの部の人に聞いてきたら、大人しいけど分からない事を丁寧に教えてくれるし、書いてる小説も丁寧で人気があるらしいし。もちろん前科もないし、特にこれといって目立った話も聞かないみたい。まさしく文学少女って感じかなー」
「もぐもぐ、文学少女、かぁ。ますます禁断の線が怪しい訳だ!」
ちょ、それは困る。というか、なんでさらにそっちの線が怪しいのだろうか。
「そもそも、文学少女で、普段から話を考えて書いてるってことは、妄想好きってことじゃない。そして内気で妄想好きな女の子が、うちらの通う女子高にいたのよ! 考えることと言えば、同性のあんなことやこんなことに決まってるじゃない」
一理あるようなないような。しかし流石にそれは強引過ぎるだろう。そもそも『物書きイコール妄想好き』というのは物書きに失礼ではないだろうか。
「まあそれはいいとして……で、二つ目って言うのは?」
「ん? ああ、それは──」
先輩へ。
大好きって言ってくれたのはうれしいです。それを言ってくれたのは、
家族と、友人と、あなたで、三番目でした。
でも私はまだ一番好きな一人を決めれません。
先輩がどういう方かも分かりません。
だから、まずは友達からでお願いします。先輩の事、少しづつでいいから、教えてください。
直接言葉で返事できなくて、急にお手紙を書いてしまってごめんなさい。学校でも会う機会は少ないと思いますが、多分、バスでなら何度も会えると思います。
ではまた、登下校のバスで。
告白された次の日の事。
昨日、友人に言われたことを思い出す。
『それは、あんたの気持ちよ。先輩がどんな人であれ、どんな関係を求めていようが、結局決めるのはあなた。だから二つ目は、自分自身のの気持ちよ』
だから私は勇気を出して手紙を書いた。
私は、今日だけは先輩に会わないように少し早めの時間のバスに乗って学校に来て、こっそりと彼女の下駄箱にそれを折り畳んで仕舞った封筒を入れた。朝に図書室で作業をしていた文芸部員の人にも聞いたし、そのクラスに朝一で来ていた先輩にも確認したので、人違いも下駄箱違いもは恐らくないだろう。
正直今日は、教師が忙しくチョークを走らせている授業の間も、暇を持て余している休憩時間も、弁当を食べながらクラスメイトと会話をしている間も、手紙の事で頭がいっぱいだった。
ちゃんと先輩の手に渡ったのだろうか。誤字はなかっただろうか。実は封筒に入れ忘れていないだろうか。あるいは手紙の事も先輩の事も、実は夢の中の出来事なんじゃないか。不安と想像と恥ずかしさが入り乱れて奇妙な感覚になる。
放課後の事、私は帰路を寄り道のためにバスではなく徒歩にした。
家から学校までの道のりは別に徒歩でも行けない訳でもないが、三十分ほどかかってしまうのだ。学割も利いて、ちょうど学校のすぐそばまで来てくれるバスがあるのだから、これは利用しない訳にはいかないと言うことでバス通学にしている。
逆に、徒歩じゃないと行けないところがあるのだから、たまには徒歩で行かない訳にはいかないのだ。朝夕のバスから外を眺めていて気付いたのだが、女子高が建てられたおかげか妙にケーキ屋等の甘い店が充実しているのだ。これは一、女の子としていかない訳には、以下略。
私は一つのお店に数分から十数分程度かけて回り、帰路に着いた。いくら女の子でもお金には限りがあるのだ。それをたった一日の甘い物巡りに使い切ってしまっては、流石に勿体無いだろう。今日はイチゴのミルフィーユを食べたのだから、今度は別のやつにしようとか、計画的に使わなければならないのだ。もっとも、お金が減ることには変わりはないのだけれど。
賑やかなお店の通りを抜けて、自らの家へ行くためには必要な道。人気のない車一台通れるかという道。そんな場所ではふと想像が独りでに動き出し、いろんなことを考えてしまう。
お菓子の事。まだ話せてないクラスの子もいる。今日仲良くなった子と、今度お菓子巡りをしてみよう、とか。裏路地には別の、隠れた名店的なお店もあるのではないか、とか。
先輩の事。私よりも長く生きている人生の先輩。甘いデザートのお店に詳しくないだろうか。いいお店を知っていないだろうか。一緒にお菓子巡りをしてみようか。今度誘ってみようか、とか。
手紙の事。先輩は読んでくれただろうか。私の返答に、悲しんでしまってないだろうか。それとも下手な手紙に苦笑してるのではないだろうか。
しかし思考は唐突に中断された。
夕日に浮かぶ二十代だろう男。ユニクロで固めた安価で簡素な服装。ボサボサの髪に、見つめられると吐き気さえ込み上げてきそうな汚い眼。その上、ただ汚い、卑しい見掛けだけでなく、視線や雰囲気も最悪で、見ているだけで感じる恐怖や迫力も伊達じゃなく思えてくる。
その汚い男が荒い呼吸と共に口を開く。口を開けただけで周囲の環境が汚染されそうな気さえして、いっそ男に忠告をしたくなるが、これは堪えなければならないだろう。そんな空気ではなさそうだからだ。
「おい女、あんただな……その顔、覚えてるぜ……」その雰囲気から発せられる通りの、気持ちの悪い言葉が投げかけられる。
「私も覚えてる。その汚らしい声と、その嫌な腕。悪いけどあんたに視界に入られるといい気分じゃないの。早くどこかへ行ってくれる?」と、つい相手の感情を逆撫でしてしまう自分。ごめん、自分、ついうっかり。うっかりで済みそうにないが。
男も私の言葉でかなりイラッときたらしく、音を立ててキレる。ああ、いかにも怒ってるような気がするのだけれど。
「女、てめぇ状況分かってんのか? まさかその小せぇ手にメリケンでも埋め込んでんのか? その圧し折れそうな腰に拳銃でも挟んであるっつうのか? それともその足にエンジンでもついてんのか?」
男は自分の言葉と私の絶望的な非力さに唾を飛ばして笑い、話を続けた。
「悪いけど、ただの女ごときの手なんて俺には腕ごと潰せるし、その腰もすぐにガクガクに震えるだろうな。それに大学時代短距離やってたからな、その足もまだ健在なのさ」
男の、まるで私の動きをいつでも止め、襲える、犯せる、最悪殺せるとでも言いたげな表情、勝利を確信し切った台詞。
正直、私は逃れれないだろう。ここは裏通り、賑やかな表通りの裏にある通りと言うだけの、店の裏の屋根が少し見えるだけで他に何の名物もない道だ。時折、道に迷った人か、雑踏を離れた散歩を好む老人か暇人が通る程度。
実際、腕は男の放った言葉で麻痺したように痺れて感覚はなく、足元に目を落とせば寒さではない何かで震えた太ももから足首が見え、指先も虫の息と言わんばかりに同様に動く。制服に包まれた背中は、日差しが強いわけでもないのに汗が流れ落ちる。
何を私はやっているんだろう、寿命を縮める威勢だけを言えるだけ言って、それを処女と平穏への遺言にして。
「あの男です、警官さん!」
私の思考は再び途切れた。
私の知っている、私より人生を長く生きてきた、文学少女。その声。
男は何かを叫んで逃げ、それを自転車に乗った警官らしき男が何かを叫びながら追いかけるのが見えた。緊張から開放されて、恐怖から開放されて、地獄から開放されて、私は力が抜けて、膝を折ってその場に座りこんでしまった。
「大丈夫ですか! ──さん!」と、彼女は私の名前を呼んで、目線を私に合わせるようにしゃがみ込んで語りかけてきた。
「せ、先輩……」と、私は情けない顔で彼女の体にしがみついた。頭を優しく撫でられる感覚が、痺れていた全身の神経に心地よい。
「あの男、悪質な痴漢常習犯みたいで、何度もバス停で見かけました。ただ、その度に私は何も出来ませんでした……。それで、あなたがあの男を追い払った日に保健室で手当てをしましたよね……。そのときに、校門付近であの男が立って見張っているのが見えて、あなたが狙われるって思って。それであなたに告白みたいなことをしてしまいました」
そうだったのか。この人は私に知らせようと、私を助けようと。でも、男が犯行を起こす前に捕まえようとしても、逆に察知されて警戒されるだけ。
「すいません。おとりにしてしまって……、上級生だからと言って、告白をしたからと言って、友達になれたからだと言っても、許される事ではないと言うことは分かっています。あなたには大変申し訳ない事をしてしまいました」
「いえ。先輩は立派です、だってそれを、そこまで勇気が必要な危険な事を決断できたんですから。それに、警察の人を呼んでくれたし」
しばらくして、私の涙と震えが止まった頃、先輩は私に一声かけてから手を貸して、立たせてくれた。どうやら禁断だとか、百合だと言う事は一切なさそうである。いや、そこまで勘繰ってしまった事が逆に恥ずかしいくらいだ。
「それからもう一つ」と、私が地面に両足をしっかり付けたことを確認して、先輩は切り出した。
「あの時の、男を追い払ったあなたはとてもかっこよくて、輝いていました。実は今回、あなたに近づいて告白したのも、それがあっての事なんです」
は、はぁ。急にまたそんな事を言われても、うれしいような、恥ずかしいようなで、少し困るのだが。というか、この空気はなんだか……。
「そんなかっこいい子が、こんな情けないっていうか、可愛い、弱い一面があるなんて、少し惚れてしまいました。多分、男の子なら、いえ、私以外の女の子でもイチコロだと思います」
今までそんな、可愛いだとか言われた事がなくて、つい顔が熱くなってしまう。多分、今私の顔は完全に赤面状態だろう。
そもそも今まで同性には男らしいだとか、カッコイイだとかは言われ、異性には女らしくないだとか言われ、それが普通だと思っていた。免疫がないのは仕方がないだろう。
「それに一人で甘い物巡りと言った所を見ると、今誰かとお付き合いしていると言うわけではないのですよね?」
「え、ええ。まあ」
どうやら付けて来たらしい。しかし縁がないのは確かである。
学園祭の演劇の男役、音楽の合唱でアルト、クラスでの男グループとの橋渡し。そういったものばかりに縁があった訳だが、恋となるとめっぽう弱く、縁がないのは事実だ。
「だから、もう一度。正式にお付き合いをお願いしたいと思います」
は?
え?
つまり?
「え、え、ええ?今、先輩は、何と?」
ですから、と先輩は少しうれしそうに、まるで小動物が欲しかったエサを手に入れたような、可愛らしい笑みで。
「あなたと、女性同士で良ければ、お付き合い願いたいと、言っているのですよ」
どうやら人生初の恋愛を、私は百合という特殊な組み合わせで、迎える事になりそうだ。
一体私はいつになれば、健全な、まともな、恋愛を迎えれるのだろうか。
それとも、この女性同士と言うのが、人生中、大本命の大恋愛になるのかも知れない。